いやはや、通則の説明で結構疲れ切ってしまいました。読者の方もそうでしょう。お詫び申し上げます。
さて、気を取り直して、基本診療料のつづきですが、外来の患者は「初診料」又は「再診料」を算定し、入院中の患者は「入院料」を算定します。入院したら、当然ですが初診療、再診料は算定できません。
初診料
さて、初診料、再診料の告示に移りますが、初診料には12個の「注」があります。「注」とは注意書きのことです。この中に、乳幼児加算、時間外加算、休日加算、深夜加算、夜間・早朝等加算等があります。また、小児科や産婦人科では休日加算、深夜加算は点数が高いこと、現在凍結されている妊婦加算も定められています。しかし、よくもこれだけ複雑になったものです。
再診料
再診料を見ますと、16個の「注」があります。本当に嫌になってきますが、ここが頑張りどころです。初診料同様に、乳幼児加算、時間外加算、休日加算、深夜加算、夜間・早朝等加算等があります。小児科や産婦人科では休日加算、深夜加算の点数が高いことも同じです。再診料で注目は「外来管理加算」です。これは面白い点数で昔から物議をかもしています。検査、リハビリ、処置、手術等を行わなければ算定できる、つまり特別な診療行為をしなければ算定できるといった加算です。内科は他の診療科と異なり、患者の話をよく聞き(問診)、視診、聴診、触診等を時間をかけて行います。しかし、それらは再診料に含まれ、点数は低くなります。耳鼻科、眼科には、耳鼻咽喉科学的検査、眼科学的検査といった検査項目がありますが、内科には特別な検査項目がなく、その分を補てんする意味合いの点数です。なので、内科以外の診療科でも算定できるとされていますが、他科では取りにくい加算です。
外来診療料
次に外来診療料です。これは200床以上の病院つまり大病院の点数です。特徴は、大病院で実施される頻度の高い検査、処置等が含まれているということです。
出来高払いと包括払い
ここで、「出来高」と「包括(俗称「まるめ」)」について簡単に説明します。出来高とは診療行為と点数が1対1対応で、診療行為を行うたびに1つずつ点数を積み上げていく方式です。診療行為を行うたびに点数が積みあがるので、医療機関は濃密な診療を行うインセンティブが働き、過小診療を防ぐことにはなりますが過剰診療を誘発する可能性があります。また、点数項目が多く診療報酬請求が複雑になります。一方、包括はひとくくりの点数なので、医療機関は過剰な診療行為を行っても点数は変わらないので、必要な診療にとどめ過剰な診療を行わなくなります。過小診療となるリスクはありますが、診療報酬請求も簡単で、医療費の適正化に貢献するといわれています。
外来診療料は包括点数です。大病院での実施される頻度の高い検査をひとまとめとすることで、診療報酬請求は簡単になります。
入院料
これは手ごわいです。毎回の診療報酬改定で変わっており、これは最初から勉強しなくてはならないので、大変です。書いているうちに、各診療項目の内容になっていたので、これから、各項目を説明する中で詳しく述べます。
この様に通則を読んで全体構造を知り、各項目の告示に読み進めていくこととなります。そこで問題になるのが、「別に厚生労働大臣が定める患者」、「別に厚生労働大臣が定める施設基準」、「別に厚生労働大臣が定める時間」という文言です。要するに、言葉通り、厚生労働省のトップである大臣が、別に定めているということです。なぜ、一つの告示に埋め込まないかというと、仮に改正となった場合に、診療報酬点数の告示本体を改正すると大変な作業となりますが、別に厚生労働大臣が定める部分だけなら改正が容易なため、この様に分けています。
施設基準
この中で特に注意すべきは「別に厚生労働大臣が定める施設基準」です。これは診療報酬本体の告示とは別に告示が定められています。なぜ施設基準が必要なのでしょうか。それは、特定のしっかりした体制をとっている医療機関だけに点数を算定させたいからです。具体的には、あらかじめ厚生労働省に届け出をして、施設基準をクリアしたことが確認された施設のみが点数を算定することができるということになります。この施設基準がなかなか複雑です。しかしめげずにマスターしたい所です。この要件を理解しないと何のための点数かが分からなくなります。
施設基準は点数表本体告示と別ですので、施設基準告示を横目に見ながら、点数表本体告示を読み進めていく必要があります。