診療報酬早わかり講座/点数表がよくわかる

短期間で診療報酬を完全マスター

医学管理等

医学管理等とは、以前は「指導管理等」とされていましたが、特定の疾患を有する患者に、指導、管理等を行った場合に算定する項目です。検査、処置、手術等なら具体的に何を行ったかがはっきりしますが、患者への指導や管理といったものは評価が難しい側面があります。しかし、実際に医師にしてみると時間をかけて説明を行っており、特に内科医では、この医学管理といったものが患者を重症化させないためにも重要で腕の見せ所といった所です。ですので、この部分を評価したものが医学管理等に含まれます。

改定毎に増えに増え、76項目にもなっています。これ全部読むの大変です。

特定疾患療養管理料

特定疾患とは生活習慣病等のことを指しており定められています。糖尿病、高血圧、心疾患、悪性新生物(がん)などが対象で、本項目は簡単に言えば、内科の点数です。外来管理加算でもいいましたが、内科は実際に特掲診療料で個々に算定できる検査、処置等が少なく、ほとんどが基本診療料(初診料、再診料)に含まれてしまいます。なので、こうした患者への療養管理といった点数により評価が行われています。具体的には、服薬(薬の飲み方、他科の薬との飲み合わせ、実際に指示された通り内服しているかの確認等)、運動、栄養等の療養管理を評価しています。こうした療養管理は、プライマリ機能を担う地域のかかりつけ医の役割ですので、大病院は算定できず、診療所でより高い点数となっています。また、入院中は算定できません。

特定疾患治療管理料

特定疾患療養管理料と同じじゃないかと思うのではないでしょうか。よく見ると療養が治療になっています。言葉だけでは差は理解できませんが、内容みると、「ウィルス疾患指導料」、「特定薬剤治療管理料」に分けられています。ウィルス疾患指導料は、C型肝炎、HIV等の本人への療養指導のみならず他人へ感染させる危険があるため、家族を含めた感染防止のための指導を評価しています。また、特定薬剤治療管理料は、ジギタリス、抗てんかん薬などの特定の薬剤は、血中濃度を定期的に測定し管理しなければなりませんので、その費用を評価したものです。血中濃度が高すぎると副作用が出現しますし、低すぎると効果が見込めませんので、適当な濃度となるよう投与量を調整する必要があります。この管理を評価していますが、かなりの部分は薬剤の血中測定にかかる費用が占めています。

この様に内容を見ると、特定疾患療養管理料とは全く異なる点数であることが分かります。

悪性腫瘍特異物質治療管理料

これも、先程の特定薬剤治療管理料と類似しており、腫瘍マーカーの測定費用を含みます。じゃあ、検査料として特掲診療料として評価すればいいのではとの考えが浮かびます。腫瘍マーカーは多くの項目があり、回数もどの程度行うかは患者の病状にも左右され一概には決められません。なので、どうしても項目が増え、回数が増える傾向にあります。なので、月あたりの包括点数とすることで、腫瘍マーカーの項目、回数を適正化する効果が期待され、必要最小限の項目、回数で評価しようとするインセンティブが医療機関には働きます。

小児科療養指導料

これは、先程の特定疾患療養管理料と類似します。これは脳性麻痺、先天性心疾患、ネフローゼ症候群等重度の疾患を有する小児への療養指導を評価した点数です。

この辺まで来ると気づきます。

医学管理等の診療報酬項目には、①患者の疾病を特定し、施設基準を設置し医療提供体制を規定し、しっかりした医学管理が行われていることを評価するものと、②実際に検査等の実施を定め、その検査料が点数の相当部分を占めている点数の 2種類あることに気づきます。

てんかん指導料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料などは①です。

外来栄養食事指導料、入院栄養食事指導料、集団栄養食事指導料は①ですが、管理栄養士の栄養指導を評価しています。

心臓ペースメーカー指導管理料、在宅療養指導料、高度難聴指導管理料は①ですが、ペースメーカー、人工肛門等、人工内耳等の器具が装着されている患者への器具調整、指導を評価しています。

その他、慢性維持透析患者外来医学管理料は、透析患者に対して定期的に行う血液検査、画像診断検査の包括点数です。

小児外来診療料

これは整理が悪いです。医学管理等ではなく、実質は基本診療料に配置すべきと思います。本点数には初診料、再診料等の基本診療料の点数を含むだけでなく、他の全ての検査、画像診断、投薬(薬剤料を含む)などが包括されています。究極の包括点数といえます。

手術前医学管理料、手術後医学管理料

術前検査、術後検査の包括点数で、検査、画像診断が包括されています。

退院時リハビリテーション指導料、退院前訪問指導料、退院後訪問指導料

医師でも可であるが、実際は、理学療法士、看護師等が、退院前後に行う指導を評価したものである。

診療情報提供料

紹介状を作成にかかる費用を評価している。

この様に、指導管理等には以下の形態の点数がある。                                     ①疾患を特定し、施設基準を定め、指導等の療養管理を評価するもの                       ②検査、画像診断等を包括し、実質検査代のようなもの                             ③看護師、薬剤師、理学療法士等のコメディカルの指導を評価するもの                      ④紹介状、薬剤の内容に関する情報提供を評価するもの                             ⑤小児科外来診療料(すべて包括)

どのパターンの点数かを意識すると理解しやすい。