さていよいよ診療報酬の枠組みに入りますが、診療報酬点数と言うのは、告示と通知からなります。と言われても何のことかサッパリと思います。診療報酬は大元は健康保険法に根拠があります。
法律(健康保険法)、政令、省令、告示、通知とは?
法律の下に政令、省令、告示、通知、事務連絡とレベルがあり、徐々に細かくなっていきます。法律で大きく規定し、その内容を政令、省令といった形で説明し、更に詳細な説明を告示、通知で行います。政令は内閣が、省令は厚生労働省が、告示も厚生労働省が、通知は厚生労働省の保険局又は保険局の下の医療課が、事務連絡は医療課の担当官レベルが発出します。診療報酬点数表というのは、みなさんご存知の通りかなり細かい内容です。これらは、厚生労働省が出した告示、保険局又は医療課が出した通知を取りまとめたものです。
療養担当規則(通称「療担」)というのを聞いたことがあるかも知れませんが、これは省令です。ですがメインは、告示と通知です。
診療報酬点数とは、健康保険法第76条2項に「療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定する」とされており、この条文を根拠として点数表は設定されています。療養の給付とは疾病又は傷病に対する治療を提供ということで、その費用は厚生労働大臣が定める告示・通知(これが診療報酬点数)によるということです。
基本診療料と特掲診療料とは?
用語を事前に整理しておきますが、診療報酬には診療報酬項目と点数があります。例えば、初診料というのは診療報酬項目で、288点というのは点数です。点数まで暗記する必要はありませんので、これからは診療報酬項目について説明します。診療報酬項目は手技料ともいわれています。
診療報酬項目には、基本診療料と特掲診療料があります。基本診療料というのは、診療のベースとなるもので、診療に当たり行われる基本的な診療行為の費用を一括したものです。ベースとなるといってもわかりにくいと思いますので、「初診料」で考えましょう。初診料は、初診の患者に対して点数をとります(「算定」といいます)。初めて医療機関を受診する患者に対して、問診、視診、聴診、触診等基本的な診療行為を行います。こうした行為は全て初診料に含まれます。その上で、超音波検査とか注射等高度な診療行為をすると、別に(「別途」といいます)検査料や注射料が算定できます。この別途算定できる検査、注射、処置、手術などは診療報酬項目として定まっており、特掲診療料といいます。
まとめますと、基本的な診療(問診、視診、聴診、触診、簡単な検査、簡単な処置等)は一括して基本診療料として基礎点数として算定し、更に詳細な検査、注射、処置、手術を行うと特掲診療料として別途算定します。
診療報酬点数 = 基本診療料 +特掲診療料
通則とは?
この様に、基本診療料はすべての患者に対して算定しますので、この部分の理解は極めて大切です。余談になりますが、医学管理等、在宅医療も医療事務において重要です。
一方、検査、画像診断、投薬、注射、リハビリ、精神、処置、手術等は細かい医療行為の羅列になりますので、特定の診療科に配属になった際に、詳細に理解する必要がありますが、あまりにも専門的(医師でも完全に把握できていない)で、また地域によるマイナールールもあり、全部を網羅することは困難です。しかし、診療行為の羅列ですので、その医療行為の手技がイメージできればルール自体は単純です。医療機関に配属になった時点、担当の診療科が決まった時点で目を通すことで対応可能と思います。ちなみに、診療科とは、「内科」、「外科」、「小児科」といった科のことです。
さて、初・再診料に入りますが、まず告示の通則に目を通す必要があります。この通則は重要で、ここに目を通さないと点数の算定方法が分からなくなります。
初・再診料の通則を見ますといきなり複雑で挫折します。頑張って読むと、初診と再診という行為は、「健康保険法63条」に規定されており、「高齢者医療確保法64条」にも規定されているということです。高齢者医療確保法は75歳以上の後期高齢者に対する法律で、保険者の位置づけが異なることから、健康保険法と区別されていますが、診療報酬点数は健康保険と同じものを使用していますので、こだわる必要はありません。法律の条文を確認しますと、健康保険法と高齢者医療確保法では、「疾病又は負傷に対する療養の給付」を行うとされており、療養の給付の範囲として「診察」が定められており、初診や再診という行為は、この「診察」の中に含まれるということを言っています。
第1節とは初診料のことで、第2節とは再診料のことです。つまり、初診を行ったら初診料を算定し、再診を行ったら再診料を算定するという当たり前のことを言っています。「ただし」以降の部分は、2つの病気でかかっても1回しか初診料、再診料は算定できないということです。でも、初診料の注5にあるように、病院で2つの診療科にかかったら、2つ目の診療科は初診料の半分の点数を算定できるとの除外ルールが示されています。
この様に1文1文読み進めていくしかないのですが、これは結構大変ですね。なので、診療報酬点数表の解釈の更に解釈本があれば、横目に告示を読んでいけるので便利であると感じます。